DV防止法 被害者自立への支援を

配偶者からの暴力を防ぐためのドメスティックバイオレンス(DV)防止法が改正され、11日に施行した。加害者に「接近禁止」などの命令を出す範囲を広げ、被害者保護の態勢を強めている。

 

2001年に防止法ができてから、配偶者間の暴力は「たかが夫婦げんか」ではなくなった。相談や保護件数も伸びている。それでも「我慢」を重ねる女性は少なくないし、自立への道は厳しいままだ。被害者の視点で、支援を充実させたい。

 

法改正は2度目になる。これまで裁判所が加害者に接近禁止などの保護命令を出すのは、被害者が殴るけるなど身体的な暴力を受けた時に限られていた。今回の改正では命を脅かすような脅迫を受けた場合も、保護を求めることができる。

 

接近を禁じる際には、電話やメールなどをしつこく繰り返したり、面会を強要することなども禁止できるようになった。

 

前回の改正では、接近禁止を命じる範囲を元配偶者や子どもに広げた。今回はさらに被害者の親族や支援者も対象とする。保護の対象が広がったのは一歩前進だ。

 

保護命令を無視して配偶者に近づいたり、親族などが被害に遭う事例が起きている。命令の実効性を高めるために、徳島県では被害者が身に危険を感じた時に警察に通報できる装置を備えた。被害者が安心できるよう、関係機関には運用面での工夫と努力を求めたい。

 

暴力が繰り返されても、被害を訴えられない女性はいまだ多い。心の通った法律にするには、長期的に被害者と家族を支える態勢を整えなくてはならない。

 

内閣府の調査によると、被害者が加害者と離れて生活を始めても、生活費の確保に困る人が半数以上いる。被害者の3人に2人は月収15万円未満である。これでは逃げるきっかけもつかみにくい。

 

生活費の補助や貸し付け、公共住宅への入居、就職のあっせんなど、自立の道筋をつける支援が必要だ。子どもたちには保育所への優先的な入所、就学への配慮など丁寧な対応が欠かせない。

 

加害者側への対応は今後の大きな課題だ。一部の民間団体が更生プログラムを行っているが、加害者に受講義務はない。人権侵害であるという意識を持たせ、暴力への衝動を抑え込まないことには、あらたな被害者を生むことになる。

 

被害者、加害者双方にきめ細かな対応ができるよう、相談や支援にかかわるスタッフの専門性を高めていかねばならない。増大するニーズに応えるには、民間団体を育てて、連携していく必要もある。


信濃毎日新聞より

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矢印DV法改正(平成20年1月11日)は、コチラをご覧下さい。

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